私たちは病気になれば不快な症状を出す。発熱、発赤、発疹、下痢、鼻水、咳などである。現代の医療はこれらの症状を止めようとする対症療法が拡大してしまった。ここで使われる薬の代表的なものが解熱鎮痛剤、ステロイドホルモン、抗がん剤などである。結果はどうであろうか。ほとんど治る世界が見えてこない。
しかし、立ち止まってよく考えてほしい。これらの症状は全てストレス、異物侵入、組織障害から逃れようとする治癒反応なのである。熱を出し、血流をふやし、分泌を盛んにして、病気からの回復に努めている姿なのである。もう少し詳しく言うと、ストレス(交感神経緊張)から逃れるための治癒反射(副交感神経反応)と言い換えることもできる。副交感神経は循環系、免疫系、消化管の働き、分泌現象と連動してこれらの働きを高めている。
薬物によってこのような治癒反応を止める現代医学を正す時期に来ているのではないか。ここで、潰瘍性大腸炎での顆粒球除去カラムの開発、癌や感染症治療のための温熱療法器の開発など生体反応を高める試みが出現しているのは喜ばしい。しかし、医療現場ではこのような生体反応の謎を知らないため、間違った治療の元でこれら良い試みも消滅しかけているのではないか。どのような良い試みも間違った治療には勝てない。
私達は発癌した患者に1)働き過ぎ、心の悩みから逃れるための生活パターンの転換 2)癌の恐怖から逃れる 3)消耗する治療(抗癌剤、放射線照射)を受けない、続けない 4)副交感神経を優位にする(よい食事、入浴、体操、散歩、笑い)を実践してもらっている。このような4カ条を実行してゆくと患者に自然発熱が起こり癌は退縮してゆく。 このようなことからも、血流改善や免疫亢進で癌を治癒に持ってゆけることがわかる。本講演では、このような生体反応を知る基礎として「白血球の自律神経」をお話しする。
参考になる本:
1 安保 徹 「未来免疫学」インターメディカル 1997
2 安保 徹 「絵でわかる免疫」講談社 2001
3 安保 徹 「医療が病をつくる」岩波書店 2001
4 安保 徹 「ガンは自分で治せる」マキノ出版 2002
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